![]() 抗感染薬およびその使用
专利摘要:
本発明は、新規な免疫刺激微粒子組成物、ならびに細菌およびウイルス感染の処置における抗感染薬としてのその使用に関する。 なし 公开号:JP2011516470A 申请号:JP2011502884 申请日:2009-04-01 公开日:2011-05-26 发明作者:アリソン ウェブスター、ジリアン;ビー ゲルダー、フランク 申请人:イネイト・セラピューティクス・リミテッド; IPC主号:A61K39-00
专利说明:
[0001] 本発明は、抗感染薬組成物の使用、ならびに、特には、病原体に対する自然および/または特異的免疫反応を高めるための抗感染薬としての免疫刺激微粒子の使用に関する。] [0002] 本発明は、主として、病原体によって引き起こされる疾患と闘うように免疫細胞上に作用することが可能な、広範囲に作用する抗感染薬としての使用のために開発されたものであり、以下においてはこの用途に関連して説明される。しかし、当然のことながら本発明はこの特定の使用分野に限定されるものではない。] 背景技術 [0003] 本明細書全体を通し、先行技術に関する考察はいずれも、当該先行技術が周知であることまたは本技術分野における共通の一般的知見の一部を形成することを認めるものとしてみなされるべきでは決してない。] [0004] 免疫系は、自然(非特異的)免疫系および適応(特異的)免疫系と称される2つの主要な区分から成る。両系は協調して効果的な反応を産み出すが、多くの点で異なっている。適応免疫系は、病原生物と反応するのに時間を必要とし、抗原特異的であり、免疫記憶を示す。これとは対照的に、自然免疫系は、病原体へのより素早い反応を示し、抗原特異的ではなく、免疫記憶を示さない。] [0005] 適応(特異的)免疫系には2つの種類があり、体液性免疫と細胞性免疫が含まれる。体液性免疫は、外来性の抗原に対する抗体の産生に関与する。抗体はB‐リンパ球によって産生される。細胞性免疫は、外来性の抗原を持つ感染細胞に作用するか、またはその他の細胞を刺激して感染細胞に作用させるT‐リンパ球の活性化に関与する。哺乳類免疫系の両方の種類共に疾患との闘いにおいて重要である。体液性免疫は、細菌性病原体およびトキシンに対する主たる防御ラインであるが、長期間作用する防御免疫にとっては、ヘルパーおよび細胞傷害性Tリンパ球の誘発が不可欠であると考えられる。] [0006] 自然免疫は、感染に対する最初の防御ラインであり、多くの微生物に一般的に見られる病原体分子パターン認識受容体(PRR)を利用して炎症促進性および抗ウイルス性サイトカインを迅速に誘発する。これらの経路の特異的な活性化因子は、健康なホストおよび免疫低下ホストのいずれにおいても、ウイルス感染に対する治療に有益である可能性がある。PRRに対するリガンドの識別、及びこれらのシグナル伝達カスケードに関する知見の増加の結果、所与の病原体に対する好ましい免疫反応の誘発薬として選択的PRRリガンドが開発されてきた。] [0007] 非特異的免疫刺激薬、またはアジュバントを、非特異的免疫の向上/誘発のための手段として用いることに対する関心が急速に高まりつつある。「アジュバント」という用語は、固体への投与またはインビトロでの試験を行った場合に、免疫細胞特異的免疫活性の全体的な上方制御を誘発することで作用する化合物を表すものとして広く用いられる。] [0008] 非常に様々な物質がアジュバント活性を有することが示されているが、一般的な医療への使用が認可されているアジュバントはミョウバンのみであり、これが最初に使用されたのは50年以上前である。ミョウバンの次としては、鉱油および不活性化結核菌を含有するフロイント完全アジュバント(FCA)が最初は広く用いられ、「代表的存在(gold standard)」と見なされたが、肉芽腫を形成することから使用されなくなった(Stills 2005)。] [0009] グラム陽性およびグラム陰性の分類の細菌ペプチドグリカンに一般的に見られるジペプチドであるムルミルジペプチド(murumyl dipeptide)(MDP)の免疫刺激/調節特性の識別は(Inohara,2003;Kufer,2006)、化学的に明らかにされ、十分に活性である免疫アジュバントとしてのMDPの臨床的な応用を目的とする免疫薬理学的研究へと繋がった。このような期待は、その毒性および不良な薬物動態プロファイル、すなわちMDPの体内からの急速なクリアランス、を主たる理由としてMDP自体が臨床用途に適さないことが認識されたことにより、間もなく失望へと変わった(Lidgate,1995;Traub,2006)。発熱性の低減または排除の試みは、その結果として誘導体の製剤化をもたらし、そのうちのいくつかは、ムラブチド(Murabutide)を例とする可溶性の単量体の形態で臨床試験に用いられている(Audibert,1984;Bahr,1995;Vidal,2001)。] [0010] 上述のMDP製剤とは対照的に、MDPに帰する望ましくない副作用は持たないが、免疫刺激特性の向上は達成されるMDP類似体が開発された(オーストラリア特許第732809号)。このMDPの無毒性の形態(NT‐MDP)は、ほとんどのアジュバントがそうであるように、天然のタンパク質、遺伝子組換えタンパク質、合成ペプチド、およびその他の免疫性物質に対する特異的な免疫反応を高めるために元々は開発されたものであり、すなわち、適切な抗原と組み合わせることで従来からのアジュバント‐抗原複合体として用いられたものである。] [0011] 従来から、感染と闘うために細菌アジュバント(bacterial adjuvants)を単独で免疫療法に用いて非特異的免疫系をブーストすることは行われていない。これは部分的には、先行技術のアジュバントは、適切な免疫細胞を特異的に活性化することができず、従って適切な免疫反応を活性化することができないためである。先行技術のアジュバントは、適切ではない細胞種によるサイトカインの産生を誘発し、それにより様々な種類の大量のサイトカインが全身的に発現し、それによって重度の望ましくない副作用が引き起こされる。そのため、先行技術のアジュバントを独立した免疫治療薬として用いることはできない。] [0012] いくつかの自然免疫反応は、ウイルス感染の制御に寄与していると考えられている。このようなエフェクター機構は多面的であり、この機構には、直接の抗ウイルス活性、ならびに感染した宿主免疫細胞に対する、これらの細胞の排除に寄与する免疫調節効果が含まれる。直接の抗ウイルス活性は、CD8抗ウイルス因子(CAF)およびIFN‐αなどの、ウイルスの転写に直接影響を与える能力を有する可溶性因子を含むことができる。マクロファージおよび樹状自然免疫細胞(dendritic innate immune cells)によって分泌された、TNF(IFN‐γと共に)などの免疫調節性/炎症促進性サイトカインは、ウイルス感染細胞に作用することができ、このことにより、TNFによって媒介される細胞溶解への感受性の高まりが見られる。さらに、ナチュラルキラー(NK)細胞が媒介するウイルス感染細胞の殺傷などの細胞機構は、抗ウイルス自然免疫の別の重要な一面を構成している。] [0013] その他の広範囲にわたる自然サイトカイン(innate cytokines)が、抗ウイルス免疫の態様を制御する生物機能を媒介することができるが、高レベルのIFN‐α/βが、ウイルス感染に関しては支配的であり、その他の自然反応(innate responses)を制御するように作用していると考えられる。B/C型慢性肝炎などの種々のウイルス性障害、ならびに広範囲にわたるヒトの癌の治療におけるIFN‐αの臨床的な有用性は、ウイルスの複製を阻止する多面的なホスト防御経路を作動させる支配的な一連の抗ウイルス遺伝子(dominant array of anti−viral genes)を誘発するその能力に帰する。臨床用途のための現在のIFN‐α製品は、遺伝子組換えタンパク質または単一のアイソフォームの高純度のタンパク質であり、これらは単独療法として、または他の抗ウイルス薬と組み合わせて用いられる。しかし、このような治療法は耐容性が良くなく、低い応答効率を伴う。このことは、天然の複数のIFN‐αアイソフォームを生理的に適切なレベルで誘発することができるだけでなく、IFN‐αと相乗効果的に作用する可能性が高い、抗ウイルス自然免疫の他の態様をも動員することができる新たな手法が必要であることを裏付けるものである。] [0014] NK細胞は、ウイルス感染に対する自然防御への、機能的に異なる重要な寄与体である。免疫刺激性化合物による内在性NK細胞活性の向上は、臨床的に適切である別の抗ウイルス治療手法である。さらに、NK細胞は、IFN‐αとは異なる機構によって、ウイルスに感染した細胞を認識してこれを破壊することができることから、IFN‐αの直接の効力に対する耐性を獲得したウイルスを標的とする能力を有する。IFN‐αは、NKによる殺傷(NK killing)の活性化に関して中心的な役割を担っており、さらに、TNF‐αおよびIL‐12などのその他の重要な自然免疫サイトカインと相乗効果を起こしてNK細胞の機能を上方制御し、適応細胞性免疫を促進する。従って、NK抗ウイルス機構を十分に利用するためには、その他の自然免疫細胞(例えば形質細胞様樹状細胞(plasmocytoid dendritic cells)(pDC)および単球など)の免疫刺激が望ましい。] [0015] 細菌感染については、その他の自然免疫機能、特に貪食細胞機能が重要であり、この場合、貪食された病原体は活性酸素または窒素種にさらされるか、またはリソソーム酵素によって破壊される。分解された抗原は、次に、マクロファージによってT細胞に提示されて、適応免疫反応が誘発され得る。細菌病原体は、貪食細胞内でのその末路に関して2つの群に分けられ:細胞外細菌は貪食の後すぐに殺傷されるが、通性細胞内細菌はマクロファージが免疫活性化されていない限り細胞内殺傷に対して耐性を有する。細胞外細菌は化膿性感染を引き起こし、通性細胞内細菌は、肉芽腫性感染である。体液性免疫機構(抗体、補体)は、主として細胞外細菌を処理し、一方、細胞性免疫機構(T細胞、マクロファージ)は、通性細胞内細菌を処理する。] [0016] 現在利用可能である治療法での治療が依然として困難である細菌およびウイルス感染は数多く存在する。例えば、結核(TB)は最も古くから知られるヒト病原体であり、単一の細菌体によるヒトの死因の第一位である。全人類のほぼ3分の1が、その病因体であるマイコバクテリウムツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)に感染していると推計される。TBは、1年間におよそ800万人の新患が見られ、年間の死亡者数は約200万人である。多剤耐性(MDR)および異常薬剤耐性(extraordinarily drug resistant)(XDR)結核は、死亡率および罹患率を制御する上で重大な問題を引き起こしている。] [0017] 結核は、小集団で無期限に存続し、突発的に再活性化されて、薬物に対して感受性の高い細菌株であっても治療が困難である疾患を発症し得る。薬物治療が困難であることから、予防および治療のためのワクチン接種によってMDR‐Mtbを抑えることが、ますます有効な一連の戦略となりつつある。歴史的には、らい腫性ハンセン病における多大な細菌存在量(heavy bacterial burden)を、BCGワクチン接種によって低減することができており;MDR結核における細菌存在量を低減するかまたはこれを除去するための同様の手法が緊急に求められている。] [0018] 結核の効果的な制御は、2段階の介入治療を含むと考えられ:すなわち、一次曝露(一次ワクチン接種)の後の感染発症の予防、およびBCGワクチン接種を行った個体の免疫活性化による疾患の再活性化の予防(ブースターワクチン接種)である。MDR‐Mtbの制御における主たる欠陥は、このような免疫化の様式に対処することができる効果的なワクチンが存在しないことである。さらに、MDR‐Mtbの治療に薬物は効果的ではなく、従って、治療ワクチン接種が求められている。野生型M.ツベルクローシス(M.tuberculosis)由来の弱毒生ワクチンは、BCGワクチンと同様の予防効果があるが、安全性の問題によって制限されている。より短期間の予防効果を有する数多くの遺伝子組換え抗原およびDNAワクチンが同定されているが、ブースターを必要とする。] [0019] 残念ながら、BCGワクチンは、小児結核に対しては不定的な効果があるが、成人結核または再感染に対しては効果がない。MDR結核は、通常、再感染の結果であり、従って、BCGワクチン接種は、薬物に感受性を持つ細菌株、またはMDR‐Mtb細菌株のこの態様の制御にはほとんど効果がない。さらに、Mtbは、マクロファージの内部に隠れており、免疫認識を妨害する。弱毒化BCGワクチンでさえマクロファージ(MΦ)および樹状細胞(DC)の特別の区画内に隠されてしまい、免疫認識が低下する。従って、BCGは少なくとも2つの重要な欠点を有する。1つ目は、防御抗原となる可能性のある抗原のすべてを含有しているわけではないことであり、2つ目は、能動的に免疫反応を妨害することである。] [0020] 結核は、強力なTh1免疫によって制御され、これは、逆説的なことに、抗体が支配的である(antibody dominant)Th2反応、およびMtb由来の産物に誘発される抑制性制御性T細胞(suppressive T−regulatory cells)によって逆制御される。従って、ワクチンの媒介によるMDR結核の免疫制御は、他のT細胞反応を犠牲にしてTh1免疫を選択的に誘発するワクチンの使用が必要であり、合理的なワクチン設計の重要な構成成分として、T細胞分化を歪めることができるアジュバントの役割が強調される。残念ながら、最小限のブースター用量で長期間持続する免疫を誘発することができるアジュバントの機構に関する理解に、大きな空白が存在する。] [0021] インフルエンザ感染は、小児および高齢者に著しい罹患率と死亡率を引き起こす。インフルエンザ感染に付随する重度の合併症としては、肺炎、呼吸不全、ショックおよび脳疾患などの非呼吸性の症状、ならびに基礎慢性疾患の悪化が挙げられる。インフルエンザに関連する死亡は、ウイルスの一次感染に直接関連する場合もあり、または、二次合併症に起因する場合もある。ある場合には、疾患の発症から死亡までが急速に起こりうる。ワクチン接種によってある程度の予防を行い得るが、毎年の遺伝的浮動の範囲は、ワクチンと流行するウイルス株とがミスマッチとなる可能性が高いことを意味する。好ましいワクチン製剤とは、毎年発生する急速なインフルエンザ株の変異に適合させるための毎年の再製剤化を必要としないものであろう。ワクチンはインフルエンザの制御に必須のツールであるが、ワクチンが有効でない場合、またはインフルエンザがワクチン接種を受けていない個体もしくはワクチン接種を受けていない集団に広がった場合(エピデミック)、自然免疫療法が特に有利となり得る。] [0022] ペストは、エルシニアペスチス(Yersinia pestis)によって引き起こされ、これは、腸内病原体であるY.シュードツベルクロシス(Y. pseudotuberculosis)から進化したものであり、こちらは、通常は慢性の比較的軽度の疾患を引き起こす。Y.ペスチス(Y.pestis)は、自然にはノミに寄生しているが、げっ歯類およびヒトに対しても伝染性が強く、全身性で多くの場合致死的な疾患の流行を引き起こす。ペスト感染は、欧米社会では比較的稀であるが、発展途上国では依然として公衆衛生に対する脅威であり続けている。これはヒトからヒトへ空気感染することができ、従って、カテゴリーAのバイオテロ病原体として指定されている。Y.ペスチスが動物に疾患を引き起こすことができるのは、部分的には、感染に対する正常な非感染性免疫反応(non−infectious immune response)を抑制するその内在的能力のためである。現行の予防ワクチン接種の戦略が存在しない場合、自然免疫反応を刺激することができる治療法によって肺ペストからの防御を行い得る。] [0023] このように、望ましい広範囲に作用する抗感染薬とは、複数の免疫細胞サブセットに特異的に作用し、複数のサイトカインの協調的放出を誘発するものであろう。この作用の方式は、ウイルスおよび/もしくは細菌感染(特に、治療が困難であるもの)の予防ならびに/または治療において望ましいものであろう。] 発明が解決しようとする課題 [0024] 本発明の一つの目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服もしくは改善すること、または有用な別の選択肢を提供することである。] 課題を解決するための手段 [0025] 本発明は、架橋させて微粒子としたムラミルジペプチド(MDP‐微粒子)が、免疫刺激性核酸モチーフを含有するという驚くべき観察に部分的に基づいており、このことは、本明細書で述べるように、広範囲にわたる抗細菌および抗ウイルス自然免疫反応を誘発する上で中心となる複数の異なる免疫細胞サブセットを活性化する能力をこのMDP‐微粒子が有することも観察された理由をも説明しうる。以降、この核酸モチーフを含むMDP‐微粒子を「MDP/DNA‐微粒子」と称する。] [0026] さらに、MDP/DNA‐微粒子を、抗感染自然免疫反応を高める能力を有する1つもしくは2つ以上の追加のリガンド、および/または細菌もしくはウイルス抗原で官能化することで、免疫反応のさらなるブースト/集中を行なうことができる。] [0027] 第一の態様によると、本発明は、ウイルスおよび/もしくは細菌によって引き起こされる感染の予防的または治療的処置の方法を提供し、その方法は、有効量のMDP/DNA‐微粒子を、それを必要とする対象へ投与することを含む。] [0028] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、自然免疫反応を活性化する。] [0029] より好ましくは、自然免疫反応は、NK細胞、形質細胞様樹状細胞(pDC)、または単球の活性化を含む。] [0030] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、少なくとも1つのサイトカインの放出をさらに誘発および/または刺激する。] [0031] このサイトカインは、好ましくは、免疫性/炎症促進性、および/または調節性サイトカインである。] [0032] 好ましくは、免疫性/炎症促進性、および/または調節性サイトカインは、インターフェロン‐アルファ(IFN‐α)、インターフェロンガンマ(IFN‐γ)、インターロイキン10(IL‐10)、インターロイキン6(IL‐6)、インターロイキン1‐ベータ(IL‐1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF‐α)、インターロイキン12(IL‐12)、およびCD8抗ウイルス因子などである。] [0033] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、抗ウイルスおよび/または抗細菌自然免疫の他の態様を動員する。] [0034] より好ましくは、抗ウイルスおよび/または抗細菌自然免疫の他の態様は、IFN‐αと相乗効果的に作用することができる。] [0035] 抗ウイルスおよび/または抗細菌自然免疫反応の効能を高めるために、微粒子と結合させるか微粒子内部に含有させることで、ウイルスおよび/もしくは細菌細胞の損傷ならびに/または破壊に効果的である特定の免疫細胞サブセットを刺激する能力を有する少なくとも1つの免疫刺激性リガンド(immunostimulatory ligand)をMDP/DNA‐微粒子に組み合わせることができる。好ましくは、このリガンドは、TLR1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、NOD‐1、およびNOD‐2など、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。] [0036] MDP/DNA‐微粒子は、Th1型またはTh2型免疫の選択的な誘発が支援されるように設計することができる。さらに、さらなるアジュバントリガンドに加えて様々な免疫原を組み込むことができる能力により、1つもしくは複数の抗原および1つもしくは複数のアジュバントを同時に、ワクチン接種の細胞標的へと選択的に送達するよう働く単一薬剤の構築が可能となる。] [0037] 1つの実施形態では、MDP/DNA‐微粒子は、少なくとも1つのウイルスおよび/または細菌抗原を含む。適切な抗原の例としては、抗原‐85A、抗原‐85B、ESAT、およびCFP‐10などのマイコバクテリウムツベルクローシス抗原が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗原の任意の組み合わせを用いることができる。好ましいインフルエンザ抗原は、蔓延している細菌株からのヘマグルチニンやノイラミニダーゼ遺伝子から誘導されるものである。ペスト抗原は、トキシン成分であるF1、V、またはこの2つの組み合わせであるいわゆるF1‐V融合抗原から誘導することができる。本発明の組成物と組み合わせて用いることができるその他のウイルスおよび細菌抗原は、当業者に公知であろう。] [0038] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、その直径が約0.05から3.0ミクロンである。より好ましくは、その直径は、0.2から2.0ミクロンである。最も好ましくは、その直径は、0.2から1.0ミクロン、または0.5から1.0ミクロンである。] [0039] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、1つもしくは2つ以上の医薬用または獣医学用の賦形剤、キャリア、または溶媒を含む組成物内に存在する。] [0040] 好ましくは、ウイルスおよび/または細菌によって引き起こされる感染を予防または治療する方法は、ウイルスおよび/または細菌によって引き起こされる感染の予防および/または治療に効果的な別の治療薬を投与することをさらに含む。] [0041] 好ましくは、別の治療薬は、同時にまたは逐次投与されるワクチンおよび/または抗生物質である。] [0042] 対象は、好ましくは、哺乳類であり、より好ましくは、ヒトである。] [0043] 好ましくは、治療されるべき感染は、インフルエンザ、ペスト、および結核から成る群より選択されるが、これらに限定されない。] [0044] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、NK細胞の増強薬として作用することができる。] [0045] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、NK細胞傷害性の増強薬として作用することができる。] [0046] MDP/DNA‐微粒子は、ウイルスおよび/または細菌の複製を阻害する可溶性因子の増強薬としても作用することができる。] [0047] 第二の態様によると、本発明は、MDP/DNA‐微粒子を含む抗感染活性を有する医薬組成物を提供し、ここで、MDP/DNA‐微粒子は核酸を含み、所望によっては薬理学的に許容されるキャリアをさらに含む。] [0048] 第三の態様によると、本発明は、MDP/DNA‐微粒子を含む抗感染活性を有する医薬組成物を提供し、ここで、MDP/DNA‐微粒子は、細菌および/またはウイルスを損傷および/または破壊および/または抑制するのに効果的である免疫細胞サブセットを刺激する能力を有する1つもしくは2つ以上のリガンドと組み合わせて核酸を含み、所望によっては薬理学的に許容されるキャリアをさらに含む。] [0049] 第四の態様によると、本発明は、MDP/DNA‐微粒子を含む抗感染活性を有する医薬組成物を提供し、ここで、MDP/DNA‐微粒子は、1つもしくは2つ以上の細菌および/またはウイルス抗原と組み合わせて核酸を含み、所望によっては薬理学的に許容されるキャリアをさらに含む。] [0050] 適切な医薬用または獣医学用キャリアおよび製剤は、当業者に公知であろう。] [0051] MDP/DNA‐微粒子の核酸成分は、好ましくは細菌DNAである。さらにより好ましくは、細菌のメチル化されていないCpGに富むDNAである。] [0052] 第五の態様によると、本発明は、MDP/DNA‐微粒子を含む組成物を提供し、ここで、MDP/DNA‐微粒子は、DNAを含む。] [0053] 好ましくは、MDP/DNA‐微粒子は、Th1型免疫反応を誘発する。] [0054] その他の治療薬および/または抗感染薬を、MDP/DNA‐微粒子と組み合わせて用いるか、またはMDP/DNA‐微粒子と結合させてよいことが当然理解される。MDP/DNA‐微粒子および/またはその他の抗感染薬の投与は、同時であっても逐次であってもよい。逐次投与は、分、時間、日、または週の任意の適切な時間枠で区切って行ってもよい。] [0055] 従って、第六の態様によると、本発明は、有効量のMDP/DNA‐微粒子を含むワクチン組成物を提供する。] [0056] 本明細書で述べるMDP/DNA‐微粒子組成物は、ヒトへの投与を意図する医薬製剤においても獣医学的用途を意図する製剤においても同様に効果的に用いることができることも当然理解される。好ましくは、製剤は、ヒトへの使用を意図するものである。] [0057] 第七の態様によると、本発明は、細菌および/またはウイルス感染の予防的または治療的処置のための医薬の製造におけるMDP/DNA‐微粒子の使用を提供する。] [0058] 文脈から明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」および「含んでいる(comprising)」などの単語は、限定的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味に解釈すべきであり;すなわち、「含むがこれらに限定されない」という意味に解釈すべきである。] [0059] 本発明においては、「ムラミルジペプチド微粒子」への言及は、「微粒子」、「MA」、「MDP‐微粒子」、MDP/DNA‐微粒子、「MIS‐416」、および「MIS」と互換的に用いることができる。図において、「MIS」、「MIS416」、および「MDP」の用語は、互換的に用いられ、本発明のMDP/DNA‐微粒子を示すものである。] [0060] 本出願で用いる「抗感染」という用語は、MDP/DNA‐微粒子組成物の殺微生物活性(すなわち、細菌および/またはウイルスの殺傷)および静微生物(microbistatic)活性(すなわち、細菌および/またはウイルスの成長、増殖、および または複製の阻害/予防)の両方を包含することを意図している。] 図面の簡単な説明 [0061] ヒト末梢血液骨髄樹状細胞(mDC)、形質細胞様樹状細胞、および単球による蛍光標識MDP/DNA‐微粒子(MISAF488)のインターナリゼーション 10μg/mlのMDP/DNA‐微粒子(MIS416)と共に培養後72時間における、ヒトPBMCによるIFN‐γ、IL‐10、IL‐6、IL‐1β、およびTNF‐αサイトカイン分泌 pDCは、MDP/DNA‐微粒子(MIS)による刺激後にIFN‐αを分泌するが、これはエンドソーム/リソソーム阻害薬によって抑止される MDP/DNA‐微粒子(MIS)による精製ヒトCD56+CD3−NK細胞の直接免疫刺激 MDP/DNA‐微粒子による刺激後の単球TNFα分泌の誘発 MDP/DNA‐微粒子(MIS)による刺激後のヒトPBMCの自発的NK殺傷活性(human PBMC spontaneous NK killing activity)の向上 1、5、または10μg/mlのMDP/DNA‐微粒子(MA)で刺激されたPBMC培養物から48時間で回収した培養上清によって媒介された、HIV‐1クレードAおよびBのPBMCウイルスバイオバーデンの抑制 MDP/DNA‐微粒子による前処理は、エルシニアペスチスのエアロゾル接種からの防御を与える 感染前の第−10日にMDP/DNA‐微粒子(MDP)によってマウスを前処理することは、エルシニアペスチスからの防御を与える エルシニアペスチスからの防御におけるMDP/DNA‐微粒子(MDP)の用量の比較 感染発症後のMDP/DNA‐微粒子(MIS416)での治療による、インフルエンザA型の罹患率および死亡率の抑制 感染発症後のMDP/DNA‐微粒子(MIS416)での治療による、インフルエンザA型の罹患率および死亡率の抑制 MDP/DNA‐微粒子(NT‐MDP)による予防は、炭疽毒素接種に対する防御を与える MDP/DNA‐微粒子(MIS416)アジュバント‐OVA免疫原抱合体が、Th1ワクチン接種モデルにおいて、細胞性防御免疫を誘発する MDP/DNA‐微粒子(MIS416)アジュバント‐OVA免疫原抱合体が、Th1ワクチン接種モデルにおいて、細胞性防御免疫を誘発する MDP/DNA‐微粒子(MIS416)が、HLA‐DRの上方制御と共に、ヒトPBMC mDCおよびpDCによる免疫共刺激分子CD83およびCD86の発現を上方制御することを示す図である。 MDP/DNA‐微粒子(MIS416)が、HLA‐DRの上方制御と共に、ヒトPBMC mDCおよびpDCによる免疫共刺激分子CD83およびCD86の発現を上方制御することを示す図である。 MDP/DNA‐微粒子(MIS416)が、未処理動物と比較した肺MTbコロニーの低減により測定した場合、MTbESTAT抗原の免疫原性を向上させる] [0062] 本発明は、ウイルスおよび/または細菌感染に対する安全で有効な予防法または治療法が存在しないことに動機付けられたものであり、架橋させて微粒子としたムラミルジペプチド(MDP‐微粒子)が自然免疫系を刺激する独特で有利な特性に部分的に基づくものである。驚くべきことに、MDP‐微粒子が恐らくは細菌由来であるDNA断片を含有することが発見され、このことから、広範囲にわたる抗感染の自然および適応免疫反応の誘発の中心となる複数の異なる免疫細胞サブセットを選択的に標的とし、活性化するその能力を説明することができる。1つもしくは複数のDNA断片を含むこの新規なMDP‐微粒子を、本明細書では「MDP/DNA‐微粒子」と称する。] [0063] 本発明のMDP/DNA‐微粒子組成物は、それ自体が、免疫系の適切な成分を標的としてこれを活性化し、細菌および/またはウイルスの破壊を補助するのに効果的であるが、この微粒子組成物の効能は、MDP/DNA‐微粒子の表面にカップリングさせるかまたはその内部に含有させることができる特定のリガンドおよび免疫原/抗原によってさらに向上および集中(例:特異的免疫の向上)させることができる。] [0064] 本発明の組成物は、細菌およびウイルスを殺傷することができるが(すなわち、殺微生物性)、細菌およびウイルスの成長/増殖/複製を阻止するように作用することもできる(すなわち、静微生物性)。両方の種類の活性共に、細菌および/またはウイルス感染の予防的または治療的処置において有利である。] [0065] 本明細書で述べるMDP/DNA‐微粒子は、高レベルのIFN‐α、ならびに広範囲にわたる自然免疫(特に抗ウイルス免疫の誘発)に対して臨床的に適切であるその他の重要な炎症促進性サイトカインの両方を誘発するように設計されている。重要なこととして、IL‐10などの調節性サイトカインが同時に産生されることは、この微粒子が調節された免疫反応を誘発することができることを意味しており、それによって、免疫に基づいた単独療法に付随し得る過免疫刺激(hyper−immune stimulation)が避けられる。このことはすべて、微粒子製剤中の所望される範囲および大きさの免疫反応を誘発する特定の病原体認識受容体(PRR)リガンドの免疫刺激特性を利用することによって達成された。このことは、微粒子の取り込みを重要な自然免疫細胞サブセットに限定し、従って、不適切な種類の細胞によって媒介される臨床的に許容されない副作用が避けられる。] [0066] 例えば、MDR‐Mtbに対する免疫は、主要なサイトカインであるIFNγ、IL‐12、およびTNFαが関与する強力なCD4およびCD8依存性Th1免疫の誘発に依存する。これらのサイトカインは、感染したMΦおよびDCをループ機構(loop mechanism)によって活性化し、一酸化窒素およびスーパーオキシドの合成を介して細胞内Mtbを標識(prime)し、除去する。興味深いことに、トール様受容体(TLR)は、樹状細胞上でサイトカイン合成を調節し、それによって防御性Th1反応の増幅に影響を与えることが知られている。新しい研究によると、TLRのシグナル伝達は、細胞内マイコバクテリアの末路にも影響を与えている可能性があることが示唆されている。] [0067] しかし、類似の免疫反応が、その他の細菌およびウイルス感染との闘いに有益であり、従って、本発明の組成物は、広範囲におよぶ細菌およびウイルス感染との闘いにおいて、自然または特異的免疫刺激薬として用いることができることが当然理解される。本発明の組成物の抗感染活性は、殺微生物活性(すなわち、細菌およびウイルスの殺傷)の形で現れてよく、または静微生物活性(すなわち、細菌およびウイルスの成長/複製の阻止)であってもよい。両方の種類の活性共に、対象における細菌もしくはウイルス感染の治療または予防に関して有益である。] [0068] 抗ウイルスおよび/または抗細菌自然免疫反応の効能を高めるために、MDP/DNA‐微粒子を、ウイルスおよび/もしくは細菌細胞の損傷ならびに/または破壊に効果的である特定の免疫細胞サブセットを刺激する能力を有する少なくとも1つの免疫刺激性リガンドと(微粒子と結合させるか微粒子内部に含有させて)組み合わせることができる。適切なリガンドは、記載された病原体分子パターン認識受容体の公知のリガンドから選択することができ、TLR1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、NOD‐1、およびNOD‐2などが挙げられる。これらのリガンドの任意の組み合わせも用いることができる。その他の有用な受容体は、本技術分野で周知であり、当業者であれば容易に同定することができる。] [0069] MDP/DNA‐微粒子のバックボーン上に結合し、保持することができる官能基が利用可能であれば、公知の生物活性に基づいて合理的な方法で組み込むことが可能な追加のアジュバント/免疫刺激性リガンドを高密度でカップリングすることが可能となる。例えば、NOD‐1ならびにNOD‐2リガンドは、ヒト樹状細胞のIL‐12p70産生およびT細胞に関連するIFN‐γの産生の誘発において、合成脂質A(TLR4リガンド)、ポリ(I:C)(TLR3リガンド)、ならびにCpG ODN(TLR‐9リガンド)と共に相乗効果をもたらすことが示された。同様の方法で、MDP/DNA‐微粒子は、Th1型またはTh2型免疫の選択的な誘発が支援されるように構築することができる。さらに、さらなるアジュバントリガンドに加えて様々な免疫原を組み込むことができる能力により、1つもしくは複数の抗原および1つもしくは複数のアジュバントを同時に、ワクチン接種の細胞標的へと選択的に送達するよう働く単一薬剤の構築が可能となる。] [0070] 細胞内エンドソーム/リソソームの低下したpHなど特定の環境下にて迅速に開裂可能または復元可能である結合は、種々の生物活性化合物のための送達媒体の開発に有用である。本発明の製剤において、MDP/DNA‐微粒子は、微粒子中に共有結合で組み込まれたNOD‐2リガンドおよびヌクレアーゼ耐性TLR9リガンドの両方により、免疫原を抗原プロセッシング/提示細胞へ標的化送達するように作製される。MDP/DNA‐微粒子は、免疫原およびTLRリガンドの結合のための、アミノおよび酸化性炭水化物部分を含む追加の官能基を含有する。これらの官能基を利用して、所望される免疫原および またはリガンドを、スクシンアミド、マレイミド、およびアルデヒド結合などの二官能架橋試薬を用いて結合させることができる。さらに、免疫原およびTLRリガンドの両方に組み込むことができる1級および2級アミノ基を直接結合する化学反応を提供する酸化性炭水化物部分が存在する。アセタール結合は、薬物送達において、薬物キャリアの構築、ならびに薬物のキャリアへの結合の両方において、酸不安定性結合として広く用いられてきた。ジアルデヒドを酸不安定性ビルディングブロックとして用いて、MDP/DNA‐微粒子上に存在する遊離のアミノ基へ生物活性化合物を架橋させることができる。] [0071] 1つの実施形態では、MDP/DNA‐微粒子は、少なくとも1つのウイルスおよび または細菌抗原を含む。適切な抗原の例としては、抗原‐85A、抗原‐85B、ESAT、およびCFP‐10などのマイコバクテリウムツベルクローシス抗原が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗原の任意の組み合わせも用いることができる。インフルエンザ抗原は、通常、ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼ遺伝子から、現在蔓延している細菌株に合致するように誘導されるものである。ペスト抗原は、トキシン成分であるF1、V、またはこの2つの組み合わせであるいわゆるF1‐V融合抗原から誘導することができる。] [0072] MDP/DNA‐微粒子は、分解に対して耐性を有することが好ましい。好ましくは、MDP/DNA‐微粒子製剤は、ペプシンによる処理、極端なpH、および変性条件に対して耐性を有する。特に、MDP/DNA‐微粒子製剤は、a)pH3.5でのペプシンによる処理、b)1未満(1mMのHCl)または11超(1mMのNaOH)であるpH、およびc)6Mの尿素または6Mのグアニジン塩酸塩などの変性条件、に対して耐性を有する。MDP/DNA‐微粒子のDNA成分は、ヌクレアーゼ(例えばDNAse I)に対して耐性を有することが好ましい。] [0073] MDP/DNA‐微粒子組成物は、適切ないかなる手段で投与してもよい。本発明による、疾患に対して対象を免疫する方法、または疾患を有する対象を治療する方法では、ワクチン組成物によって形成された溶液を数多くの方法を利用して投与することができる。投与方法の例としては、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、点眼、飲料水を介して、エアロゾル、または鼻内噴霧がある。動物に投与する場合、任意の適切な獣医学的製剤を用いてもよい。上述のものに加えて、製剤は、粉末またはペーストの形状であってよく、飼料に添加するか、または通常の方法で経口投与してよい。適切な製剤プロトコルおよび賦形剤は、Remington; The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed,1995(Mack Publishing Co.ペンシルバニア州、米国)、British Pharmacopoeia,2000、などの標準的なテキストに見ることができる。] [0074] 本発明の作用機構に関して特定のいかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、MDP/DNA‐微粒子製剤が広範囲にわたる感染病原体を処理する能力は、特にMDP/DNA‐微粒子の核酸成分により、複数のサイトカインの放出が誘発/刺激されると共に、ナチュラルキラー細胞(NK)、ならびに形質細胞様樹状細胞(pDC)および単球などのその他の自然免疫細胞、が活性化することに帰すると考えられる。] [0075] ここで、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。本発明を例を用いて説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、変形および変更を行うことができるものと理解すべきである。さらに、特定の特徴に対して公知の均等物が存在する場合、そのような均等物は、本明細書に具体的に言及されているのと同様に取り込まれる。] [0076] 実施例1 − MDP/DNA‐微粒子の作製 プロピオニバクテリウムアシニ(Propionibacterium acini)から単離されたムラミルジペプチド(MDP)の複数の繰り返しが、本実施例のMDP/DNA‐微粒子キャリア複合体のコア構造を形成した。好ましい単量体サブユニットの化学組成を以下に示す。] [0077] ] [0078] MDPは、周知の免疫刺激特性を有し、その特性は、免疫機能を増加させるその効果を測定するように設計された研究において広く評価されている。現在のところ、自然源から単離されたMDPと合成MDPは共に、哺乳類へ投与した場合に強い毒性を伴う。この毒性により、MDPのアジュバントとしての有効性が制限されてきた。] [0079] 毒性成分を含まないMDPおよび付随する細菌DNA断片を単離する方法は本明細書中に提供される。プロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)を中間定常成長期(mid−stationary growth phase)まで成長させ、当業者に周知の技術を用いて細菌培養物由来の不純物を洗浄除去した。細胞壁および細胞質に含有される疎水性成分を、エタノール/イソプロパノール/水の濃度を上げながら(10%:10%:80%、25%:25%:50%。および40%:40%:20%)高温で順に洗浄することで、段階的に抽出した。次に、イソプロピルアルコールを、エタノールの濃度を下げながら(80%、50%、40%、および20%)高温で順に洗浄することで除去する。得られたMDP/DNA‐微粒子を、次に、6Mのグアニジン塩酸塩中に懸濁し、続いて、洗浄用の水中で洗浄し、その540nmでの吸光度を濁度標準の吸光度と関係づけすることでその濃度を測定する。MDP/DNA‐微粒子の濃度は、保存して後で使用するために、10mg/mlに調節した。] [0080] この製剤の分析から、主に1〜3ミクロンの範囲の微粒子サイズで、細菌DNAと広範に架橋したムラミルジペプチドが明らかになった。このMDP/DNA‐微粒子は、アミノ結合したL‐アラニン‐D‐イソグルタミンジペプチドおよび生物活性成分としての細菌DNA断片と共にムラミン酸を含有する。このような微粒子は、上記のように自然源から単離することができ、または、周知の合成手順を用いて合成することもできる(例えば、Liu G.; Zhang S.−D.; Xia S.−Q.; Ding Z.−K. Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,10(12),2000,pp.1361−1363(3); Schwartzman S.M., Ribi E., Prep Biochem. 1980;10(3);255−67; Ohya et al. Journal of Bioactive and Compatible Polymers,1993;8;351−364)。本方法で作製されたMDP/DNA‐微粒子は、広い範囲のサイズを有することができるが(例えば、0.011〜30ミクロン)、好ましいサイズは、0.5〜3ミクロンの範囲である。] [0081] 実施例2 −リガンドおよび免疫原のMDP/DNA‐微粒子への共有結合 リガンドおよび免疫原のMDP/DNA‐微粒子への結合は、還元アミノ化を用いることで達成することができる。当業者であれば、安定なカルボニル基を、メタ過ヨウ素酸ナトリウムによる炭水化物の酸化により、MDP/DNA‐微粒子上、リガンド/免疫原を含有する炭水化物上、またはデキストラン、ポリエチレングリコール、もしくはマンニンブリッジ(mannin bridge)上に作製することができることは理解するであろう。この結果、安定なカルボニル基(アルデヒド)が形成され、次に、これが特定のTLRリガンドおよび免疫原上に存在するアミノ基と自ら反応し、シッフ塩基中間体が形成される。シッフ塩基の形成を行った反応物へシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加することで、不安定なシッフ塩基中間体が完全に還元され、化学的に安定な結合が得られる(以下の図参照)。水素化ホウ素ナトリウムとは異なり、シアノ水素化ホウ素ナトリウムは十分に温和であり、アルデヒドが非反応性ヒドロキシルへと逆に還元されることが回避される。この方法論的手法は、Current Protocols In Immunology; Series Editor: Richard Coico (Cornell University) Published by John Wiley & Sons, Inc.、に記載されている。] [0082] 用いた方法の例は以下の通りである:20%エタノール中のMDP/DNA‐微粒子(20mg)を遠心分離によってペレット化し、水中に再懸濁し、水でよく洗浄する。次に、MDP/DNA‐微粒子をペレット化し、(MDP/DNA‐微粒子50mg)/メタ過ヨウ素酸ナトリウム(0.05〜0.5M)1mLの濃度で再懸濁し、室温で酸化反応を1時間行う。メタ過ヨウ素酸ナトリウムでの活性化の後、MDP/DNA‐微粒子懸濁液を遠心分離によってペレット化し、水中に再懸濁し、水でよく洗浄する。メタ過ヨウ素酸ナトリウムの濃度および反応時間を変化させて、MDP/DNA‐微粒子、リガンド、免疫原などの内部に酸化反応中に作製される活性化部位の数を調節することができる。活性化されたMDP/DNA‐微粒子は、MDP/DNA‐微粒子1個あたり対象免疫原またはリガンド分子の少なくとも1個と、好ましくは、MDP/DNA‐微粒子1個あたり対象ペプチドまたはリガンド分子の10〜100個と、最も好ましくは、MDP/DNA‐微粒子1個あたり対象ペプチドまたはリガンドの100から1000個と反応し、これと共有結合する。高度に活性化されたMDP/DNA‐微粒子製剤に関しては、最終濃度が0.5Mであるメタ過ヨウ素酸ナトリウムを用い、酸化反応は1時間行う。メタ過ヨウ素酸ナトリウムの好ましい濃度は5〜30mMの間である。] [0083] メタ過ヨウ素酸ナトリウムによる酸化の後、MDP/DNA‐微粒子を次にペレット化し、よく洗浄してメタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去する。活性化されたMDP/DNA‐微粒子を、次に、炭酸水素ナトリウムバッファー中(0.1M、pH9.5)の所望される免疫原またはリガンド(例えば、≧1mg/mLのTLR9またはNOD2、重量/重量比20:1)中に再懸濁し、18〜24時間インキュベートする(環境温度)。この反応物を遠心分離し、シッフ塩基中間体を介してMDP/DNA‐微粒子に結合した免疫原/リガンドをこの段階で含有するペレットを還元して、MDP/DNA‐微粒子と免疫原/リガンドとの間に安定な共有結合を形成する。数多くの還元剤を用いることができ、この目的のために通常用いられる還元剤の例としては水素化ホウ素ナトリウムがある。シッフ塩基の還元の後、MDP/DNA‐微粒子と免疫原/リガンドとの抱合体をペレット化し、所望されるワクチンバッファー中で洗浄し所望される免疫原/リガンド濃度で再懸濁させる。] [0084] 免疫原またはリガンドを用いる場合、これとMDP/DNA‐微粒子との共有結合は、二官能架橋剤を介して作り出すこともできる。] [0085] ホモ二官能イミドエステル架橋剤を介するカップリング DMA、DMP、およびDMS(以下に示す)は水溶性の膜透過性ホモ二官能イミドエステル架橋剤である。イミドエステル官能基は、1級アミンの修飾に利用可能である最も特異的なアシル化基の1つであり、タンパク質/リガンド中の他の求核基に対する交差反応性が極めて低い。さらに、イミドアミド反応生成物は、タンパク質全体の電荷を変化させることがなく、タンパク質/リガンドの自然のコンフォメーションおよび活性が保持される可能性がある。タンパク質/リガンドの結合は、2段階反応を介して達成され、ここで、MDP/DNA‐微粒子をまず、立体障害を回避するために必要であるスペーサーアーム長に基づいて以下に示す3つから選択される所望のイミドエステル架橋剤と共にインキュベートする。] [0086] ] [0087] まず、MDP/DNA‐微粒子上に存在する遊離のアミノ基を、0.2Mのトリエタノールアミン、pH8.0(反応バッファー)に溶解した20倍モル過剰量の架橋剤と共にインキュベートすることで飽和させる。この反応混合物を室温で30分間インキュベートし、遠心分離および反応バッファーでの洗浄(3×)により、過剰の架橋剤を活性化されたMDP/DNA‐微粒子から除去する。活性化されたMDP/DNA‐微粒子を、所望のリガンドを含有する反応バッファーへ再懸濁させる。この反応混合物を室温で1〜2時間インキュベートし、MDP/DNA‐微粒子‐リガンド抱合体をペレット化し、グリシン緩衝食塩水(0.05M グリシン、pH6.5、NaCl 0.9%)で洗浄し(×3)、サイトカイン誘導アッセイ(cytokine induction assays)により生物活性を測定する。還元的アミノ化結合法について上記で概説したものと同様の割合の微粒子および免疫原/リガンドを用いる。] [0088] 作用の機構を限定するものではないが、MDP/DNA‐微粒子‐免疫原/リガンド組成物は、選択的な細胞の取り込み、タンパク質の半減期、およびMHCの免疫学的現象による抗原提示に影響を与えることによって免疫原性に影響する可能性が高いことを述べておく。2つ以上の対象免疫原/リガンドによる免疫化が所望される場合、対象免疫原/リガンドとMDP/DNA‐微粒子との複数の抱合体のカクテルを、カクテルに導入された各対象のペプチドの免疫原性が最適化される比で個々の抱合体を混合することによって作製することができる。この構成では、単一の抗原提示細胞/応答細胞(responder cell)による抗原提示を高めるのに十分な免疫原が各微粒子抱合体上に利用可能に存在する(微粒子あたり100〜1000個の免疫原‐リガンド)。対象免疫原/リガンドの免疫原性/活性を、MDP/DNA‐微粒子キャリアあたりの対象ペプチドの数、および所望によっては、ワクチンカクテル中の免疫原の比率、の両方を調節して最適化し、所望の免疫反応を達成することができる。この構成では、抗原提示細胞による抗原プロセッシングにより、MHC相互作用を通して、抗原提示細胞の細胞表面に高密度、通常は100個超、最も多くの場合500個超のペプチド、の提示がなされる。] [0089] 結合のためのその他の方法としては、マレイミド結合の化学を利用することもできる。マレイミド結合は、スルホ修飾したスルホスクシンイミジル‐4‐シクロヘキサン‐1‐カルボキシレートを、スルホ‐SMCC(Pierce)を用いる標準プロトコルに従って用いるか、またはスルフヒドリル結合に適するその他のリンカーを用いて実施することができる。] [0090] 実施例3 − :末梢血液単球、形質細胞様(pDC)、および骨髄(mDC)樹状細胞による蛍光標識MDP/DNA‐微粒子のインターナリゼーション 全血を50、25、10、または1μg/mLのAlexaFluor 488で標識したMDP/DNA‐微粒子と共にインキュベートし、37℃で30分間インキュベートした。単球、形質細胞様、および骨髄DCを、一群の蛍光抗体(becton Dickinson)を用いて識別し、CD45、BDCA‐1、BDCA‐2、細胞系マーカー、およびCD14発現に基づいてゲーティングした(gated)。AF488‐微粒子をインターナライズした各サブセットの%を図1に示す。これらの細胞の免疫刺激は、広範囲におよぶ抗感染防御を開始させる中心となるものであり、従って、MDP/DNA‐微粒子の重要な細胞標的である。] 図1 [0091] 実施例4 − MDP/DNA‐微粒子で刺激されたヒト全血によって媒介される全身自然炎症促進性反応(general innate pro−inflammatory response)の特徴付け: 完全培地+5%Ab血清中の1/10希釈ヒト全血を、24ウェル組織培養プレート中にて、10μg/mLのMDP/DNA‐微粒子と共に培養した。このサンプルを72時間インキュベートし、細胞を含まない上清を回収してサイトカイン含有量を分析した。上清は、フローサイトメトリービーズアレイ法(flow cytometric bead array technology)(Bender MedSystem FlowCytomixヒトTh1/Th2サイトカインマルチプレックスキット)を用いて分析した。図2で測定したサイトカインは、MDP/DNA‐微粒子が免疫刺激性であり、自然免疫細胞の動員および成熟、ならびに自然免疫の誘発の中心となるサイトカインを誘発することを示している。] 図2 [0092] 実施例5 − pDCは、MDP/DNA‐微粒子による刺激後にエンドソーム/リソソームに依存する形でIFNαを分泌する。 ヒトpDCを、BDCA‐2+細胞の磁気ビーズ選別を用いてPBMCから精製した。ソートした細胞(106/ml)を、MDP/DNA‐微粒子またはTLR9 A型イガンド(igands)と共に、5μmのクロロキンの非存在下または存在下にて16時間培養した(完全培地+5%Ab血清)。フローサイトメトリーサイトカインビーズアレイ法を用いて、上清をIFNα含有量について分析した。図3に示す結果は、強力な抗ウイルスサイトカインであるIFNαがpDC用量に依存して誘発されたことを示している。これは、微粒子の核酸成分によって媒介されるが、該核酸成分は細胞のエンドソーム区画内に存在するTLR9リガンドを介して作用する可能性が最も高いと思われる。このことと一致して、微粒子によるIFNαの誘発は、リソソーム/エンドソーム阻害薬であるクロロキンによって阻害可能である。MDP/DNA‐微粒子がpDCのIFN‐α産生を活性化することができるということは、これらの細胞がインビボでのIFN‐αの代表的な自然源であることから、非常に有利である。IFN‐αの自然産生を標的とすることができる薬剤は、ウイルス感染の治療に対して、組換えIFN‐αよりも毒性の低い、代替的な治療レジメンを提供する。] 図3 [0093] 実施例6 − MDP/DNA‐微粒子による40時間の刺激後の、精製NKおよびNKT細胞によるIFNγ、GM‐CSF、MIP‐1α、およびTNFαの産生 ヒトCD56+細胞を、MACSポジティブ選別ビーズを用いて99%の純度まで全血から精製し、これによって、NK(CD56+CD3−)およびNKT細胞(CD56+CD3+)の両方が単離される。次に、精製した細胞を、無刺激で、IL‐2(500U/ml)と、IL‐12(50ng/ml)と、またはMDP/DNA‐微粒子(40、20、10、および5、および1μg/ml)と共に40時間培養した(7.5×105/ml)。フローサイトメトリーサイトカインビーズアレイ法を用いて、上清をIFN‐γ、TNF‐α、およびGM‐CSF、およびMIP‐1αの含有量について分析した。図4から分かるように、MDP/DNA‐微粒子は、サイトカインIFNγおよびTNFα、ならびにMIP‐1αおよびGM‐CSFの産生を明らかに刺激している。NK細胞は、ウイルス感染した細胞の破壊において重要な役割を担っており、これらの因子は、NK細胞の免疫活性化の特徴である。NK細胞、およびNK細胞由来の因子は、マクロファージおよびその他の貪食性細胞防御の動員ならびに促進を支援することもできる。] 図4 [0094] 実施例7 − MDP/DNA‐微粒子による22時間の刺激後の単球によるTNFα産生の誘発 ヒトPBMC(106/ml)を、20、10、5、および1μg/mlのMDP/DNA‐微粒子と共に22時間培養した。タンパク質輸送阻害薬(ブレフェルジンA)を培養の最後の6時間に渡り添加し、サイトカインの蓄積を可能にした。固定化可能バイオレットlive/dead色素(Invitrogen)で細胞を標識し、洗浄し、続いてCytofix/Cytoperm(Becton Dickinson)を用いて固定/透過処理し、続いて、抗TNFα‐APC‐Cy7モノクローナル抗体で標識した。図5Aに示すように、生存単球は、FSCvs 高SSCゲーティングと組み合わせたlive/dead色素排除に基づいて識別した。図5Bでは、MDP/DNA‐微粒子の全濃度において、TNFαを発現するゲーティングされた生存単球の割合を測定した。TNFα発現単球の割合が最大であるのは、20μg/mlのMDP/DNA‐微粒子における73.8%である。TNFαは、PMN顆粒球の貪食および殺微生物活性を活性化する重要なサイトカインである。] 図5A 図5B [0095] 実施例8 − MDP/DNA‐微粒子による刺激後のヒトPBMCの自発的NK殺傷活性の向上 PBMCを、40、20、10、および5μg/mlのMDP/DNA‐微粒子と共に培養した。既知のNK細胞活性薬であるIL‐2(500U/ml)およびTLR3リガンド、ポリ(I:C)(50μg/ml)をアッセイのポジティブコントロールとして用いた。18時間の培養の後、PBMCを新鮮な培地中で洗浄し、100:1、10:1、および1:1のエフェクター:標的比にて、蛍光標識したNK感受性を有するK562腫瘍標的に対する細胞傷害性について試験した。腫瘍細胞の殺傷は、ゲーティングした蛍光K562標的のフローサイトメトリー生死判別を用いて4時間後に測定した。結果を図6に示す。これらのデータは、機能的NK活性がMDP/DNA‐微粒子によって誘発されることを示している。NKの細胞殺傷の活性化は、ウイルス感染した細胞を殺傷することが知られていることから、望ましいものである。] 図6 [0096] 実施例9 − 1、5、または10μg/mlのMDP/DNA‐微粒子で刺激されたPBMC培養物から48時間で回収した培養物s/n(culture s/n)によって媒介される、HIV‐1クレードAおよびBによるPBMCウイルスバイオバーデンの抑制 33体積/体積%のMDP/DNA‐微粒子刺激培養物s/n(0.2μmでろ過)の添加の前に、PBMC培養物をHIV‐1ウイルスストックと共に24時間予備インキュベートした。HIV‐1複製の阻害のポジティブコントロールとして、組換えヒトIFNaを10、100、または1000U/mlで添加した。HIV‐1感染後の第5日にPBMCを回収し、HIV‐1感染細胞の%を、生細胞の細胞内p24抗原発現のフローサイトメトリー分析を用いて測定した。感染の阻害パーセント(%)は、細胞+ウイルス培養物単独の平均バイオバーデンに対する値として算出した。結果は、マイクロ培養物の3つの反復サンプルから得た+/−SEMを示す(図7)。DNAアポトーシス/細胞周期分析(データ示さず)によって測定されたPBMC培養物の全体の生存率に対して、MDP/DNA‐微粒子活性化s/nまたはIFNaの影響はなかった。これらのデータは、MDP/DNA‐微粒子が、ウイルス複製を直接阻害することができる可溶性因子を誘発することを示している。] 図7 [0097] 実施例10 − 感染(ペスト)に対するMDP/DNA‐微粒子の影響 示した計画に従ってC57BL6マウスにMDP/DNA‐微粒子(100μg、腹腔内)を受けさせ、続いて第0日にエルシニアペスチスを接種した。] [0098] ] [0099] Y.ペスチス感染に関しては、1×105CFUの菌株KIM D27の鼻腔内投与でマウスを感染させた。これはおよそ10LD50に相当し、LD100に近い。未処理のコントロール動物はすべて、第+8日までに感染によって死亡した(図8)。処理動物の中には生存したものもあった。生存動物の数が最も多かったのは(5体中2体)、MDP/DNA‐微粒子を第−10日に受けた2つのグループであった。最適な結果は、第−10日の処理で得られると推定される。この最初の発見をさらに明らかにするために、さらなる実験を行った(図9、10)。これらの実験では、感染前の第−10日に、50または500μgのMDP/DNA‐微粒子を投与した。50μgの用量の方が、500μgの用量よりも良好な防御をもたらすことが分かった。両用量共に、食塩水コントロールよりも良好な防御をもたらした。全体として、この実験は、MDP/DNA‐微粒子が肺ペストに対する防御を提供することができることを示唆している。] 図8 図9 [0100] 実施例12 −インフルエンザへの曝露後のMDP/DNA‐微粒子による処理により、生存率の増加および体重減少の改善によって測定される防御が得られる マウス:野生型C57BL/6マウスを最初はThe Jackson Laboratory(バーハーバー,メイン州)より購入し、次にこれをTrudeau Institute Animal Breeding Facilityで飼育した。マウスはすべて、Trudeau Institute Animal Care and Use Committeeのガイドラインに従って飼育し、管理した。] [0101] ウイルス感染.インフルエンザA型ウイルスのA/PR/8/34(H1N1)株を最初はD.Morgan(The Scripps Research Institute, ラホヤ,カリフォルニア州)より入手した。卵齢10日のニワトリ有胚卵の尿膜腔内でウイルスストックを作製し、−70℃で保存した。マウスにイソフルランで軽く麻酔をかけ、0.3LD‐50のインフルエンザを鼻腔内接種した。感染後、マウスの体重を毎日測定し、30%を超える体重減少を示したマウスはすべて瀕死であると見なした。MDP/DNA‐微粒子を食塩水で希釈し(50μgまたは250μg)、これかまたは食塩水単独を、感染の翌日に尾静脈注射によって静脈内投与した。] [0102] 統計.体重減少データはスチューデントt検定で解析した。生存率データはログランク検定で解析した。いずれのケース共に、p<0.05を統計的に有意であるとみなした。] [0103] 結果を図11に示す。A)MDP/DNA‐微粒子の二つの用量はどちらも、体重減少に同様の影響を与えた。マーク(*)で示したケースでは、MDP/DNA‐微粒子治療が、体重減少を大きく軽減した。B)初期体重の30%超の減少を示した動物は、瀕死であると見なし、安楽死処理を行った。データは、2つの独立した実験から集められる(グループあたりのマウス総数n=15)。MDP/DNA‐微粒子によって処理した動物の罹患率の減少は、統計的に有意であった(ログランク検定によりp=0.035)。これらの発見は、ウイルス感染が確立された場合でさえ、MDP/DNA‐微粒子の一回投与による治療が、インフルエンザ感染に関係する罹患率および死亡率の両因子を改善することができることを示している。このことは、MDP/DNA‐微粒子が機能的に適切なレベルの抗ウイルス因子を誘発する能力を持つことをさらに示している。] [0104] 実施例14 − MDP/DNA‐微粒子免疫抱合体は適応細胞性Th1免疫を誘発する。 適応細胞性Th1免疫は、結核およびウイルス感染などの特定の感染疾患の防御にとって重要である。MDP/DNA‐微粒子免疫抱合体のTh1アジュバント特性を測定するには、腫瘍ワクチン接種モデルが有用である。OVA腫瘍抗原は、十分に特性決定された腫瘍抗原であり、スルフヒドリル結合を用いてこれをMDP/DNA‐微粒子へ共有結合させた。図13A、Bから分かるように、OVA‐MDP/DNA‐微粒子免疫抱合体のワクチン接種により、養子移入されたOT‐I CD8+細胞の末梢増殖(peripheral expansion)が誘発され、続いて、腫瘍予防ワクチンモデルにおける抗腫瘍免疫が誘発される。] 図13A [0105] (A)同系の精製CD8+OT‐I細胞(103)を、静脈内送達によってマウスの複数のグループ(C57/Bl6;n=10)へ養子移入し、続いてOvaの25μg、OVA‐MDP/DNA‐微粒子(MIS416)免疫抱合体の25μg、または200ngのα‐ガラクトセラミドと混合したOVAの25μg(Th1反応に対する静脈内免疫化のポジティブコントロール)によって静脈内免疫化を行なった。免疫化後の第35日まで、種々の時間点で末梢血液をサンプリングした。OT‐I細胞の増殖を、CD8+CD45.1+Vα2+フェノタイプ(OT‐I特異的)を有するT細胞に対するフローサイトメトリー分析を用いて測定した。(B)免疫化後第36日に、106のB16‐OVA腫瘍細胞を皮下注射し、腫瘍の成長をモニタリングした。] [0106] これらの発見は、MDP/DNA‐微粒子をアジュバントとして用いたワクチンが、防御Th1免疫反応を誘発することができることを示している。このことは、結核など、新規なTh1ワクチンアジュバントの開発を必要とする特定の感染疾患に対する効果的なワクチンの作製において特に重要である。] [0107] 実施例15 − MDP/DNA‐微粒子は、HLA‐DRの上方制御と共に、ヒトPBMCmDCおよびpDCによる共刺激分子CD83およびCD86の発現を上方制御する ヒトPBMC(106/ml)をMDP/DNA‐微粒子で刺激した(完全培地+5%Ab血清)。アッセイポジティブコントロールとしてC型CpGおよびHKSAを用いた。刺激後22時間にて、CD83、CD86、およびHLA‐DRの共発現を、ゲーティングした生存mDCおよびpDC上にてマルチパラメータフローサイトメトリーを用いて測定した。] [0108] APCの細胞レパートリーの中で、mDCおよびpDCは共に、インビトロおよびインビボの両方において、自然免疫反応の誘発ならびに強固な一次および二次T細胞適応免疫反応の誘発に不可欠である。従って、MDP/DNA‐微粒子は、CD83およびCD86共刺激分子と共にAg提示MHCクラスII分子が、加熱殺菌S.アウレウス(heat killed S.aureus)(HKSA)による場合と同程度に上方制御されることによって示されるように、インビトロにおけるPBMCmDCの成熟の強力な誘発薬であることが示された。pDC成熟の共分析からも、MDP/DNA‐微粒子が、CD86の上方制御と共に、HLA‐DRの著しい上方制御を誘発することができることが示されている。CD83の発現は、対照的に、合成C型CpGなどその他のpDC成熟刺激薬で見られるよりも低い程度での上方制御である。pDCおよびmDCに対するMDP/DNA‐微粒子活性の大きさが異なる理由の一部は、mDCがpDCよりも貪食性が強く、従って微粒子を選択的にインターナライズすることにある。これらの発見は、図14に示されており、自然免疫刺激薬としてのMDP/DNA‐微粒子の使用を支持するものである。] [0109] 実施例16 − MDP/DNA‐微粒子は、マウスにおけるESAT‐6 Mtb抗原の免疫原性、および薬物耐性M.ツベルクローシスのクリアランスを向上させる。 C57Bl/6マウスを、マウス1体あたり105CFUの薬物耐性Mtb株で静脈内感染させ、感染を14日間進行させた。続いて、Titermaxアジュバント、もしくはMDP/DNA‐微粒子アジュバント中の、またはアジュバントなしの組換えMtb ESAT‐6タンパク質のマウス1体あたり25μgでマウスを処理し、この処理は第14日、18日、および21日に行った(マウス1体あたり3回投与)。マウスを第28日に屠殺し、臓器のホモジネートを7H11寒天上に播種することで肺CFUをカウントした。1つの時間点あたり3体のマウスを分析した。MDP/DNA‐微粒子は、未処理動物と比較して、MTb肺コロニーの形成の著しい軽減を誘発した。対照的に、比較アジュバントであるTitermaxは、ETSATの免疫原性を大きく向上させることはなかった(図15参照、*印は、t検定による有意差を示す)。] 図15 実施例 [0110] 本発明を特定の好ましい実施形態および例を参照して説明したが、本発明の趣旨および本明細書で提供される開示事項に沿った変形例も意図されていることが当然理解される。]
权利要求:
請求項1 ウイルスおよび/または細菌によって引き起こされる感染の予防的または治療的処置の方法であって、有効量のMDP/DNA‐微粒子を、それを必要とする対象へ投与することを含む、方法。 請求項2 前記MDP/DNA‐微粒子が、自然免疫反応を活性化する、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記自然免疫反応が、NK細胞、形質細胞様樹状細胞(pDC)、および/または単球の活性化を含む、請求項2に記載の方法。 請求項4 前記MDP/DNA‐微粒子が、少なくとも1つのサイトカインの放出をさらに誘発および/または刺激する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項5 前記サイトカインが、インターフェロン‐アルファ(IFN‐α)、インターフェロンガンマ(IFN‐γ)、インターロイキン10(IL‐10)、インターロイキン6(IL‐6)、インターロイキン1‐ベータ(IL‐1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF‐α)、インターロイキン12(IL‐12)、および/またはCD8抗ウイルス因子から選択される、請求項4に記載の方法。 請求項6 前記MDP/DNA‐微粒子が、少なくとも1つの免疫刺激性リガンドを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項7 前記リガンドが、TLR1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、NOD‐1、および/またはNOD‐2から選択される、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記MDP/DNA‐微粒子が、少なくとも1つのウイルスおよび/または細菌抗原を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。 請求項9 前記少なくとも1つのウイルスおよび/または細菌抗原が、マイコバクテリア抗原‐85A、抗原‐85B、ESAT、CFP‐10、インフルエンザ抗原である赤血球凝集素および/もしくはノイラミニダーゼ、ペスト抗原であるF1、V、F1‐V融合抗原、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。 請求項10 ウイルスおよび/または細菌によって引き起こされる感染の予防および/または治療に効果的である別の治療薬を投与することをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項11 前記別の治療薬が、同時にまたは逐次投与されるワクチンおよび/または抗生物質である、請求項10に記載の方法。 請求項12 前記対象が哺乳類である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項13 前記治療すべき感染が、インフルエンザ、ペスト、または結核から選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項14 前記MDP/DNA‐微粒子が、Th1型免疫反応を誘発する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。 請求項15 MDP/DNA‐微粒子を含み、および所望により医薬用もしくは獣医学用(veterninary)の賦形剤、キャリア、または溶媒を含む、組成物。 請求項16 MDP/DNA‐微粒子、および少なくとも1つのその他の抗感染薬を含む、組成物。 請求項17 MDP/DNA‐微粒子、および少なくとも1つの免疫刺激性リガンドを含む、組成物。 請求項18 MDP/DNA‐微粒子、ならびに少なくとも1つのウイルスおよび/または細菌抗原を含む、組成物。 請求項19 前記組成物が殺微生物性である、請求項15から18のいずれか1項に記載の組成物。 請求項20 前記組成物が静微生物性(microbistatic)である、請求項15から18のいずれか1項に記載の組成物。 請求項21 請求項15から20のいずれか1項に記載のMDP/DNA‐微粒子組成物を含む、細菌もしくはウイルス感染の治療的または予防的処置のためのワクチン。 請求項22 前記細菌またはウイルス感染が、ペスト、インフルエンザ、および結核から選択される、請求項21に記載のワクチン。 請求項23 細菌および/またはウイルス感染の予防的または治療的処置のための医薬の製造における、MDP/DNA‐微粒子の使用。
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